[logic-ml] ワークショップ「証明論的意味論の最前線」のお知らせ

Shunsuke Yatabe shunsuke.yatabe at gmail.com
Sun May 1 23:16:46 JST 2016


皆様

このたび、5月8(日)に、東京・慶応大学において、以下の要領で論理学の哲学に関するワークショップを開催することになりましたので、ご案内申し上げます。

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応用哲学会WSワークショップ「証明論的意味論の最前線」

日時:5月8日(日)15:30-17:30
場所:慶應義塾大学三田キャンパス 102教室(D会場)
応用哲学会2016年度大会において行われます <http://www.jacap.org/events/jacap2016.html>

http://www.jacap.org/events/jacap2016.html
発表者:五十嵐涼介、鈴木右京、矢田部俊介


ワークショップ 証明論的意味論の最前線



証明論的意味論は、意味の使用説および推論主義に影響を受け、論理結合子の意味はその導入規則と除去規則によって与えられると考える論理学の哲学上の立場
である。通常よく使われるモデル論的な意味論と異なり、推論規則自身が論理結合子の意味を与えるとみなす立場は、計算機科学における帰納的データ型の考え
方などと親和性も高く、近年、広く研究されるようになってきた。

かつては、ダメットらが証明論的意味論で正当化できるのは直観主義論理であり、その点で直観主義論理は古典論理と比べてアドバンテージを持つと論じていた
が、ラムフィットらの古典論理も同じ枠組みで正当化できるのではないかという研究も登場した。同時に、多くの非古典論理の体系についても、この枠組みから
意味論を与える研究が行われている。

本WS
では、この話題に関し、導入的な説明を行うとともに、以下の二つのラムフィットに関連する先端的な研究を紹介し、現在の証明論的意味論研究の最前線と、その哲学的意義を検討する。



(1)双側面説・古典論理・否認の価値(鈴木右京)

PTS
(証明論的意味論)とは、自然演繹における導入規則、及び除去規則を利用して、論理結合子の意味を説明するとともに、一定の論理体系を正当化しようとするプログラムのことを指す。ダメットやプラヴィッツによって唱導されてきた従来型の
PTS
は、直観主義論理のみを対象としたものであったが、ラムフィットは、従来の主張だけを基礎的言語行為と認めるやり方ではなく、否認も文の意味決定に参入する双側面説の立場を取れば、古典論理を含む体系
BCLにPTSを与えることができると論じた。

本発表では、BCLが
含む「協調規則」について論じる。協調規則は、文の意味の定め方に対する要請、主張条件と否認条件が適切に関係していると言えるための条件として解釈すべ
きである。そのため、協調規則を設定するなら、なぜ文の意味の定め方に特定の要請が課せられるのか正当化しなければならない。BCL
の協調規則のうち、無矛盾則とマイナスの帰謬法についてはこれが可能であるが、プラスの帰謬法については一定の困難がある。双側面説に加えて反証主義の立場を取ることで、プラスの帰謬法を認めることができる。



(2)符号付き自然演繹を用いた否定概念の分析(五十嵐涼介)

これまで多くの研究者が古典的否定、直観主義否定を始めとした様々な否定概念の差異および関係の分析を行なってきた(cf. Dunn; 1999,
Shramko; 2005, Ripley 2009)
。これらの研究は主にモデル論的な観点から成されており、可能世界意味論および両立不可能性関係などの道具立てを用いて、多様な否定概念を統一的に扱っている。ところで近年、鈴木
(2015) はRumfitt(2000)
において提示された符号付き自然演繹の体系を発展させ、古典論理に対して証明論的意味論の立場からより適切な正当化を与えた。本研究はこの結果を発展させ、否定概念を分析するための統一的な枠組みを与えることを目的としている。

本研究は以下のような着想に基づいている。証明論的意味論の立場から様々な論理体系を統一的に扱う枠組みとしては、Dosen (1989) およびSambin
et al (2000) の
ものがあるが、彼らはシークエント計算を用いた上で、推論規則を論理結合子の振舞いを記述する操作規則と、メタレベルの構造の関係を記述する構造規則の区
別に着目した。操作規則は論理規則の定義そのもであるため、すべての体系を通じて同一である。その上で、各々の体系はどの構造規則を採用するかによって特
徴付けられる。Rumfitt (2000) および鈴木 (2015) の
体系も同様に、論理結合子の定義にあたる操作規則と、符号同士の関係を一般的に定めるところの協調規則を持つ。本研究では、各々の協調規則がそれぞれどの
ような否定概念(および論理体系)に対応するのかを明かにし、同時にそれらに対する証明論的意味論の立場からの直観的な解釈を行う。





参考文献

Rummfitt, I. (2000). Yes'and `No','

Mind,109,436 781-823.

(2007). `Assertingand excluding: Steps towards an anti-realist account of
classical consequence,'in Auxier, R. & Hahn, L. eds. The Philosophy of
Michael Dummett: Open CourtPub Co, 639-693.
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